ブログ

ブログ カテゴリ: 臨床研究

栗並Drの論文がCareNetで紹介されました!

2018.03.15

「CareNet」という
臨床に携わる医師が発信する実践診療に役立つ情報を紹介してくださる
医療専門のポータルサイトがありまして。

そちらの3月14日付のニュースとして、
こんな記事が掲載されました。

『CareNet』掲載画面

当院で糖尿病専門医取得のため研修中の 栗並 昇 Drが、
「Diabetes Reseach and Clinical Practice」に投稿、
2月12日に掲載された研究論文が紹介されています。

要するに栗並Drの研究論文が、CareNetさんから
「実践診療に役立つ良い研究論文」
という評価をいただき、ニュースとして紹介された、
〜ということでありまして。

『Diabetes Reseach and Clinical Practice』掲載画面

 

ちなみに、この記事、現在、CareNetのサイトで、
医師の週間ニュース閲覧ランキングのTOP10にランクイン中!

3月18日時点、第6位。ヒュ〜ヒュ〜(笑)。

こちら、
『生体インピーダンス法を用いた身体組成分析と血液検査を組み合わせることで、
 肝臓の異所性脂肪の蓄積を評価できる』
という栗並Drの仮説を証明した研究であります。

肝臓の異所性脂肪の蓄積〜というのは、
みなさんよくご存知の『脂肪肝』のこと。

食べ過ぎによって、血管の中に漂う余分なエネルギー源(糖や脂質)は、
脂肪に変えられ、皮下や内臓にある脂肪細胞の中に蓄えられます。
ちなみに、男性は皮下脂肪より内臓脂肪が蓄積しやすく、
女性は内臓脂肪より皮下脂肪が蓄積されやすいです。

ある程度の脂肪の蓄えは、
四六時中食べてエネルギー補給しなくても、
生命活動を保つことができる、という点では、
人間にとっては素晴らしく必要不可欠なシステムなのですが、
問題になってくるのは、
実際に四六時中食べちゃって、かつ、運動(エネルギーを消費)しないことで
備蓄先の脂肪細胞が余分なエネルギーで溢れかえり
パンパンになっちゃってる状態。

この状態、様々な生活習慣病を引き起こします。
この辺は「メタボですよ」と言われたことがある方には既にご存知の通り。


そこからさらに日常的に食べちゃう&日常的に運動しないままでいると、
余分なエネルギー源を蓄えるところが
通常の脂肪細胞で足りなくなり、
溢れた脂肪が臓器に沈着するようになるのです。


さあ、想像してください。

あなたのお腹の中で、
肝臓やすい臓、心臓や筋肉などの
取り替えのきかない大切な臓器たちが、
どんどんどんどん脂肪で覆われ、侵略されていく様子を。

・・・怖い。これはかな〜り怖い。

ということで、テレビの健康番組では
「エイリアン脂肪」などど紹介されているようですね。

脂肪に侵略された臓器に当然良い影響などあるはずもなく。

異所性脂肪は、直接、臓器の機能を低下させ、
徐々にその細胞を破壊していきます。


「糖尿病患者さんの死因において、
 最近は、治療がよくなって心血管で亡くなる方が減ってきていて、
 代わって多くなってきているのが「がん」で。
 中でも肝臓がんが多いんです。
 
 食べ過ぎや運動不足が原因で2型糖尿病の状態に陥っている患者さんでは、
 異所性脂肪が肝臓に沈着します。
 これが非アルコール性脂肪肝炎になり、肝硬変、肝がんへと進行していきます。
 
 肝癌や肝硬変の原因として主であるC型肝炎は、
 新薬の登場で治癒可能な病気となっています。
 これからは、肝癌や肝硬変の原因は
 脂肪肝へと移行していく事が予想されますので、
 早期発見が重要となります。

 異所性脂肪がどの位沈着しているかはCTですぐにわかるんですけど、
 CTだと、すべての病院ですぐにできる検査ではないし、
 患者さんにとっても検査費用が高いしX線被曝のリスクもある。
 それが、身体組成分析と血液検査でわかれば簡単だし、
 早い段階で治療が始められます。」」
・・・とは栗並Dr。

この「身体組成分析」というのがいわゆる体脂肪(体成分)測定でありまして
当院でいうと5Fで行っている「InBody」という検査になります。

この測定機で、筋肉量と体脂肪量の比を出します。

もう一つの『血液検査』がALT値。(昔でいうGPT)
肝臓になんらかの異常があって細胞が壊れ過ぎると
血液中に出てくる成分です。
健診はもちろん血液検査の時に必ず測る検査項目ですので、よく見る項目かと。

どちらも当院の患者さんであればみなさん測定したことがおありですよね。

で、これによってどういう治療を始めればいいかというと、
  1)日々の食事量を身体にあった適正な量にコントロールすること
  2)日々の活動量を増やし、時に運動も行いしっかり筋肉を動かすこと
〜の2点につきます。

・・・「何だ、結局、それですか」と、お思いでしょうが(笑)
これに勝る健康管理法ってないんですよ!


「異所性脂肪は食事や運動ですぐに減らすことができるんです。
 実際、当院の入院患者さんが
 入院食で適正量のお食事を続け、5Fのフロアで運動を継続されたところ、
 1週間で異所性脂肪が減ってます。」
との由。

また、ここ数年、次々に上市された新しい糖尿病薬の二次的な効能として、
「異所性脂肪を減らす」効能があるものがわかってきておりまして、
昨今、こちらの追跡調査も進んでいるようです。


これまで糖尿病のある方の寿命は、
一般の方より10年位短い状態でした。

しかしながら、今や、きちんと治療管理を続ければ、
心血管障害で急逝することもなくなり、
肝臓がんにもならない、という時代になってきています。

ちゃんと治療管理を続ければ、
嘘偽りなく、
「糖尿病がない方と変わらない寿命を全うすることが可能」
なんです。

陣内病院では、そこから一歩進んだ
「糖尿病のある豊かな人生」を目標としています。

きちんと治療管理を続けることで、
普通の人よりクオリティの高い健康長寿を達成しちゃいましょう!

陣内病院では、それを実現するための臨床研究にも
日々、全力投球!いたしております。

栗並Drにおかれては、この研究の前には、
「身体組成分析の筋肉脂肪比によって、
 グルコースクランプと同等の
 インスリン抵抗性の指標を得ることができる」
という内容の臨床研究の論文を上梓され、近く、
「身体組成分析の筋肉脂肪比によって、
 睡眠時無呼吸の予測ができる」
という論文を投稿予定だそう。

いずれも今回同様、
患者さんがリーズナブルに病気の予兆を早期発見できて
早期治療と自己管理で健康長寿を達成するための
新しい臨床治療指標の提唱となります。


そしてこれらの研究論文のマスターヨーダがこちら!


陣内病院の臨床研究チームの今後に乞うご期待!

そしてなぜ杉山Drがお直衣姿なのかは次回のブログでご紹介!