震災後から断水が続いていた水道に、
弱圧ながら試験通水が始まった4月23日(土)のこと。
ガレージ診療が始まって
毎日12時に召集して情報共有している部門ミーティングにて
検査機器の動作チェックが完了したとの報告を受けて、
こんなやりとりがありました。
「水道水が濁ってるけど、検査機器は大丈夫?」
「不純物は多くなってるけど、どうしようもない。
検査機器側のフィルターをこまめに交換するしかないと思う。」
熊本は、ほとんどの自治体の水道が地下水源で賄われております。
さらには、使われる地下水源のほとんどが
そのままの状態で飲料基準をクリアしているため、
ろ過する必要がなく、
滅菌と塩素処理だけで水道供給を行っているところが多いのです。
要するに水道供給施設に「ろ過の設備がない」。
これが、今回の地震で地下水が濁ってしまった結果、
「水道水が濁る」という問題をもたらしていました。
熊本の地層は
過去4回大噴火を起こした阿蘇山の火砕流の層でできあがっています。
出典:澄清の地下水都市・熊本
噴火の際、大地のすべてを焼き尽くし、埋め尽くした恐ろしい火砕流は、
何万年を経た現在、その火砕流の構成成分である軽石や火山灰が、
雨や水田用水、生活排水などのあらゆる雑水を大量に吸い込み ‘ろ過’ する
天然の巨大な『ミネラル浄水フィルター』となっているわけで。
熊本市内に多くの湧水を産み出している火砕流の層が「ASO-4」。
その深さはおよそ40m。
今回の熊本地震の震源が地下10km。
地表でさえこんなにクラック入っているんですから、
ASO-4だってクラック入ってるよな〜、というのは
想像に難くないですよね。
前震、本震と、昨日で1,200回を超えた余震が続く中で、
「近くの湧水が止まったり、
いつもはそんなに出てない湧水の水量が増えたりしてるんだよ。
ASO-4が割れて水脈が変わってるんだと思う。」
とは熊本でも有数の湧水地、江津にお住まいの稗島Dr。
こちらは4月2日に、NHKのブラタモリで
「住宅街で見つけた“美しすぎる”川」として紹介された
藻器堀川の水前寺公園近くの水神様がある湧水スポット。
確かにここも、湧水の数、本日、激減しておりました(涙)
水前寺公園の湧水池の水が枯れてしまった!というニュースに
思わず、見に行ってしまったのですが、
5月5日現在、こんな感じ。
おみやげ屋さんの話では、
これでもだいぶ水が戻ってきてるのだそう。
「大丈夫です!きっと元に戻りますから。
それより、私たち、
これがYahooニュースのトップになったことの方で
みんなで興奮しちゃってて!!!
うち(水前寺公園)が全国区のニュースになることなんてないから(笑)」
・・・うう〜ん。自虐的なのか前向きなのか。
ま、なんせ明るいのはいいことですね(笑)。
いろいろ打ちのめされる現実ばかりですが、
それを笑い飛ばせるパワーに触れると、
なんだか元気になれます。
そしてさらに稗島Dr談。
「ブラタモリのおかげで、今年のGWは、
熊本の新たな一面を見に来てくれる人が増えるな〜と思ってたのに。
熊本、やばいよね。
でもASO-4がダメでも我々にはASO-3,2,1があるっっ!!!」
予震の後、一旦お片づけしたデスクが、
翌日の本震で再びこの惨状となり、トホホ顏の稗島Dr。
そのポジティブさで、デスクのお片づけも頑張りましょうっ!(笑)
水道水はその後、4月31日より通常水圧での供給が始まり完全復旧。
水は透明さを取り戻しつつあります。
熊本県内、あちこちで止まってしまったと噂に聞く湧水の数々も
復活することを祈るばかり。
なんとか調整、頑張ってくれ、ASO-1,2,3,4!!!
自然は大いなる厄災をもたらすが、大いなる恵みももたらす。
熊本地震を体験して、
そんな日本人古来の宗教観を肌で感じることが多くなっています。
余談ですが、最近、ブラタモリの熊本編の録画をリピート再生しまくっています。
あのタイミングで美しい熊本の姿を撮影してくださったこと、
NHKの企画スタッフの皆様に本当に感謝しています。
なんとかあそこまで戻したい、ですね。